2011-10-24(Mon)
第24回東京国際映画祭コンペティション、トルコ映画「ホーム」
昨日10月22日(土)、
六本木ヒルズをメイン会場に開幕した第24回東京国際映画祭(TIFF)。
早速行って参りました
地下鉄日比谷線の六本木駅の改札を出ると、
まず目に飛び込んで来るのがTIFFの巨大な看板

そして、六本木ヒルズに続く地下通路には例年通り、上映作品のポスターのギャラリー

見ているだけで楽しい♪
そして、この空間も・・・、

この演出も・・・、

例年通り、映画祭ムードを盛り上げています♪
・・・・・
最初に観賞したのは、
第24回東京国際映画祭コンペティション部門に出品のトルコ映画
「ホーム」。

映画祭初日の10月23日、11:00よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズ スクリーン6にて観賞
そういえば、昨年の映画祭の最初に観たのもトルコ映画で、秀作
「ゼフィール」であった。
・・・・・
トルコ映画
「ホーム」。

監督、脚本:ムザッフェル・オズデミル
出演:カンボラット・ギョルケム・アルスラン他
言語:トルコ語
上映時間:85分
監督のムザッフェル・オズデミル氏は、映画
「冬の街」で、
第56回カンヌ国際映画祭(2003年)・最優秀男優賞を獲得した人物。
監督が自身の体験から自分を投影したという鬱病を患う主人公ドアンの目を通し、
トルコの環境破壊を伴う開発の嵐に一石を投じる作品。
ストーリー・・・
歴史的建造物の補修などに携わる建築家の中年男ドアン。
仲間とのキャンプ中、突然鬱病を発症してしまう。
医者の勧めで、心を癒す為仕事を長期で休み、故郷の地方の村を訪れることにする。
しかし、そこで見たものはトルコ政府の開発政策により環境破壊にさらされる川や山々だった。
美しい自然を映し出す映像が魅力的である。
小川のせせらぎ、風の音、鳥のさえずり・・・心癒される自然が発する音が印象的だが、
そこに重なり合うベルの音が更に美しい。
人間の作りだした音だが、人工的でありながら自然に調和するその音が美しい。
映画の冒頭、美しい自然の風景の中で突然出て来るのが、動物の死骸のアップのカット。
上映後のQ&Aで、製作者は「美しい自然の中にも残酷さが存在する」ことを示したかったと語る。
「美しい自然」、そして「動物の死骸」という描写は、
「ゼフィール」にも出て来た。
突然出て来る動物の死骸には、ハッとさせられ、たいへん印象に残る演出である。
オープニングのカット。
浅い清流の川底に日光が当たり、ベルの影が映る。
そこに時折水滴が落ち、波紋が広がる。
そして静かな水の音にベルの音が重なる・・・。
ラストシーンの「山」の風景も衝撃的で忘れられない・・・。
一方、映画中盤に登場する大都市の夜景のカットも印象的である。
この美しい夜景のその先にあるものは破壊された自然なのである。
・・・・・
映画上映後、会場から拍手が沸き起こる。
そして、予定通り監督らが登壇し、Q&Aが行われた。

映画祭では、上映後に監督等の製作者が登壇し、観客から直接質問を受け、
それに答えていくQ&Aという普段なかなか経験できない貴重な機会を楽しむこともできる。
作品の製作意図、解り難いシーンの解説など、深い話が聞けたりする。
以下、書き取って来たメモより、興味深い質疑応答を抜粋してまとめてみた。
Q1:製作意図について。
A1:トルコ政府が3千もの川を開発の犠牲にしようとしている。
映画を撮り、それに反発を示した。
Q2:トルコの環境破壊と鬱について。環境破壊を表現するには「鬱」でなくても良いのでは?
A2:トラウマがメランコリー(鬱)を作るのか、メランコリーがトラウマを作るのか?
我々はそれらを分けて考えないといけない。
鬱の人でなくても人に同じ悲しみを与えられると思う。
しかし、鬱である方が印象を与えやすい。
これは自伝的な映画で、こうせざるを得なかった。
私の心の悲観さを表現している。
Q3:過度な開発や環境破壊を描いた映画は過去にたくさんあったが、
今回「旅」という形態をとったのは?
A3:5~6歳まで過ごした町、そこはエルドラド(理想郷)だった。
そこは「銀の町」という名の町。そこで多くの会社がボーリングを行っている。
それに反発する為、故郷へ何度も旅をした。
そこが自分の子供時代の夢を追っていた場所だった。
単に子供時代の夢を失っただけでなく、人生そのものを失ってしまった。
100回近い旅。殆どルーティーンだった。回数を重ねる度に酷い方向へ向かっていた。
Q4:トルコでは上映されたか?「反発」のというテーマについてトルコ人の反応は?
A4:地方都市の映画祭で1度上映。反応は良かった。肯定的。
しかし、首相、文化大臣は私に反発していた。
Q5:トルコでは、ダム建設に対して、賛成?反対?無関心?
A5:日本をまず見たい。東京に暮らしていると夜を昼の様にしていることが分かる。
素晴らしい都市空間があり、素晴らしく娯楽に満ちた世界。
こういうものを作り上げるパイプが存在する。
そのパイプはいろいろな所から延びて来ていて、それを我々は吸っている。
日本は島国で資源は限られている。街のその先を見ていない。
これはどの位続くのか?
Q6:冒頭の動物の死骸のカットについて。
A6:自然は美しいが残酷な面もある。それは自然が病気になることで影響があるもの。
これは羊の死骸である。監督が実際に見つけたものである。
一言では表せない難しいテーマを扱った作品だが、たいへん重厚感があり印象深く、
映画祭の最初を飾るに相応しい作品であった。
みっきぃパパ
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六本木ヒルズをメイン会場に開幕した第24回東京国際映画祭(TIFF)。
早速行って参りました

地下鉄日比谷線の六本木駅の改札を出ると、
まず目に飛び込んで来るのがTIFFの巨大な看板


そして、六本木ヒルズに続く地下通路には例年通り、上映作品のポスターのギャラリー


見ているだけで楽しい♪
そして、この空間も・・・、

この演出も・・・、

例年通り、映画祭ムードを盛り上げています♪
・・・・・
最初に観賞したのは、
第24回東京国際映画祭コンペティション部門に出品のトルコ映画


映画祭初日の10月23日、11:00よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズ スクリーン6にて観賞

そういえば、昨年の映画祭の最初に観たのもトルコ映画で、秀作

・・・・・
トルコ映画


監督、脚本:ムザッフェル・オズデミル
出演:カンボラット・ギョルケム・アルスラン他
言語:トルコ語
上映時間:85分
監督のムザッフェル・オズデミル氏は、映画

第56回カンヌ国際映画祭(2003年)・最優秀男優賞を獲得した人物。
監督が自身の体験から自分を投影したという鬱病を患う主人公ドアンの目を通し、
トルコの環境破壊を伴う開発の嵐に一石を投じる作品。
ストーリー・・・
歴史的建造物の補修などに携わる建築家の中年男ドアン。
仲間とのキャンプ中、突然鬱病を発症してしまう。
医者の勧めで、心を癒す為仕事を長期で休み、故郷の地方の村を訪れることにする。
しかし、そこで見たものはトルコ政府の開発政策により環境破壊にさらされる川や山々だった。
美しい自然を映し出す映像が魅力的である。
小川のせせらぎ、風の音、鳥のさえずり・・・心癒される自然が発する音が印象的だが、
そこに重なり合うベルの音が更に美しい。
人間の作りだした音だが、人工的でありながら自然に調和するその音が美しい。
映画の冒頭、美しい自然の風景の中で突然出て来るのが、動物の死骸のアップのカット。
上映後のQ&Aで、製作者は「美しい自然の中にも残酷さが存在する」ことを示したかったと語る。
「美しい自然」、そして「動物の死骸」という描写は、

突然出て来る動物の死骸には、ハッとさせられ、たいへん印象に残る演出である。
オープニングのカット。
浅い清流の川底に日光が当たり、ベルの影が映る。
そこに時折水滴が落ち、波紋が広がる。
そして静かな水の音にベルの音が重なる・・・。
ラストシーンの「山」の風景も衝撃的で忘れられない・・・。
一方、映画中盤に登場する大都市の夜景のカットも印象的である。
この美しい夜景のその先にあるものは破壊された自然なのである。
・・・・・
映画上映後、会場から拍手が沸き起こる。
そして、予定通り監督らが登壇し、Q&Aが行われた。

映画祭では、上映後に監督等の製作者が登壇し、観客から直接質問を受け、
それに答えていくQ&Aという普段なかなか経験できない貴重な機会を楽しむこともできる。
作品の製作意図、解り難いシーンの解説など、深い話が聞けたりする。
以下、書き取って来たメモより、興味深い質疑応答を抜粋してまとめてみた。
Q1:製作意図について。
A1:トルコ政府が3千もの川を開発の犠牲にしようとしている。
映画を撮り、それに反発を示した。
Q2:トルコの環境破壊と鬱について。環境破壊を表現するには「鬱」でなくても良いのでは?
A2:トラウマがメランコリー(鬱)を作るのか、メランコリーがトラウマを作るのか?
我々はそれらを分けて考えないといけない。
鬱の人でなくても人に同じ悲しみを与えられると思う。
しかし、鬱である方が印象を与えやすい。
これは自伝的な映画で、こうせざるを得なかった。
私の心の悲観さを表現している。
Q3:過度な開発や環境破壊を描いた映画は過去にたくさんあったが、
今回「旅」という形態をとったのは?
A3:5~6歳まで過ごした町、そこはエルドラド(理想郷)だった。
そこは「銀の町」という名の町。そこで多くの会社がボーリングを行っている。
それに反発する為、故郷へ何度も旅をした。
そこが自分の子供時代の夢を追っていた場所だった。
単に子供時代の夢を失っただけでなく、人生そのものを失ってしまった。
100回近い旅。殆どルーティーンだった。回数を重ねる度に酷い方向へ向かっていた。
Q4:トルコでは上映されたか?「反発」のというテーマについてトルコ人の反応は?
A4:地方都市の映画祭で1度上映。反応は良かった。肯定的。
しかし、首相、文化大臣は私に反発していた。
Q5:トルコでは、ダム建設に対して、賛成?反対?無関心?
A5:日本をまず見たい。東京に暮らしていると夜を昼の様にしていることが分かる。
素晴らしい都市空間があり、素晴らしく娯楽に満ちた世界。
こういうものを作り上げるパイプが存在する。
そのパイプはいろいろな所から延びて来ていて、それを我々は吸っている。
日本は島国で資源は限られている。街のその先を見ていない。
これはどの位続くのか?
Q6:冒頭の動物の死骸のカットについて。
A6:自然は美しいが残酷な面もある。それは自然が病気になることで影響があるもの。
これは羊の死骸である。監督が実際に見つけたものである。
一言では表せない難しいテーマを扱った作品だが、たいへん重厚感があり印象深く、
映画祭の最初を飾るに相応しい作品であった。
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