2012-11-01(Thu)
第25回東京国際映画祭コンペティション、南アフリカ映画「アクセッション-増殖」
10月27日(土)、第25回東京国際映画祭、
チリ映画
「NO」、イタリア映画
「眠れる美女」に続いて3本目に観賞したのは、
コンペティション部門に出品の南アフリカ映画
「アクセッション-増殖」。

南アフリカで日々起こっている非常に深刻な問題を独特の撮影方法で表現した作品。
監督、脚本、製作、撮影、編集:マイケル・J・リックスさん
出演:ペトロ・テンバ・ムボレさん、ヴズムズィ・ンドゥモさん
製作国:南アフリカ
製作年:2012年
言語:ズールー語
上映時間:78分
ストーリー・・・
南アフリカ共和国、郊外のある村。
手当たり次第いろいろな女性と性行為に明け暮れる黒人青年。
しかしある日、その相手の女性の内の一人がHIV感染を青年に打ち明ける。
青年はHIV感染の恐怖に怯える。
青年はある迷信に惑わされ、その恐怖を振り払う為、異常な行動を取る様になる・・・。
この作品で最も印象的だったのは、
ほぼ全編が主人公の黒人青年のアップのカットによって占められている点。
誰かとの会話のシーンでは青年の顔のアップ、
歩くシーンでは背後からのアップ等々・・・。
我々観客は、この不愉快な青年に最初から最後まで付き合わされる状況下に置かれる。
78分という短い作品ではあったが、少々疲れた。
南アフリカの社会が実際に抱えている社会問題を描いた作品だが、
見たくないシーンが数多く登場する。
現実に日々起きている問題とのことで、目をそむけることは良くないことだと分かってはいる。
しかし、生後数ヶ月の赤ん坊が男に・・・というシーンはさすがに衝撃的過ぎて、
思い出したくない強烈なシーンである。
このシーンの時、一部客席がざわつき、男女の2人組が退場する場面も。
退場の理由が、このシーンを見たくなかった為か、他の理由かは分からないが、
自分も退場したくなるほど見たくないシーンであった。
特にまだ小さい娘を持つ親としては・・・。
今後この作品が日本で劇場公開されるかどうかは分からない。
商業的に成功するか微妙である。
かなり個性的で、社会問題を取り上げた貴重な作品ではあるのだが・・・。
・・・・・
映画上映後にQ&A。
登壇者は、マイケル・J・リックス監督。

Q(司会):
衝撃的な題材をテーマに映画を作ろうと思ったきっかけは?
A(監督):
大変残念ながら、これは南アフリカでは日々起こっている問題。
レイプ事件の件数は報告されているだけで年間2万5千件あり、半分は子供が被害者。
今まで映画としては製作されていなかったテーマで、それが大きな牽引力となった。
Q(観客):
自分は大学生で、映画を作っている。監督はどのように低予算で映画を作って来たか?
A(監督):
ウェブサイトに自分の作品を載せて、感心を持ってくれた人に株を買ってもらう様な形で、
最終的な興行の利益の何%かをお返しする仕組み。
この作品については、政府にとっては作って欲しくないタイプの作品だったので、
政府からの資金は期待できなかった。
Q(観客):
主人公の男をずっとカメラで追い続けている様な作り方。これは何か意図がある?
A(監督):
ここには意図がある。
この環境とこのキャラクターの世界に観客の方々にどっぷり浸かって欲しかった。
逃げ道を無くした状態でこの環境とこのキャラクターに対処して欲しかった。
それが過酷過ぎて途中で映画を観てられなくなって立ち去る人もいたかもしれない。
常に主人公にフォーカスを与えて逃げられない様にするという方法。
Q(観客):
最後の方でモノクロの映像に変わっていくが、男性の追い込まれた感情を表現したもの?
A(監督):
実は映画の冒頭の部分から徐々にだんだんと色が抜け落ちて行く仕組みになっている。
それが最後まで続いてモノトーンになる。
元々の意図は、男の人生から色が削げ落とされて行くというのと同じ様な形で、
観客の方にも色が落ちて行くのを感じて欲しかったということ。
Q(観客):
ずっとカメラが主人公を追っていたのが、最後は追わなかったのは?
A(監督):
観客にとっても主人公にとっても、そろそろ逃してあげようとした。
主人公にとっては、あれでやっと自由になれる。
観客も彼にずっと付き合っていかないといけなかったので、休ませてあげようと。
それでクローズアップから離れて遠目で見られる様にした。
・・・・・
みっきぃパパ
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チリ映画


コンペティション部門に出品の南アフリカ映画


南アフリカで日々起こっている非常に深刻な問題を独特の撮影方法で表現した作品。
監督、脚本、製作、撮影、編集:マイケル・J・リックスさん
出演:ペトロ・テンバ・ムボレさん、ヴズムズィ・ンドゥモさん
製作国:南アフリカ
製作年:2012年
言語:ズールー語
上映時間:78分
ストーリー・・・
南アフリカ共和国、郊外のある村。
手当たり次第いろいろな女性と性行為に明け暮れる黒人青年。
しかしある日、その相手の女性の内の一人がHIV感染を青年に打ち明ける。
青年はHIV感染の恐怖に怯える。
青年はある迷信に惑わされ、その恐怖を振り払う為、異常な行動を取る様になる・・・。
この作品で最も印象的だったのは、
ほぼ全編が主人公の黒人青年のアップのカットによって占められている点。
誰かとの会話のシーンでは青年の顔のアップ、
歩くシーンでは背後からのアップ等々・・・。
我々観客は、この不愉快な青年に最初から最後まで付き合わされる状況下に置かれる。
78分という短い作品ではあったが、少々疲れた。
南アフリカの社会が実際に抱えている社会問題を描いた作品だが、
見たくないシーンが数多く登場する。
現実に日々起きている問題とのことで、目をそむけることは良くないことだと分かってはいる。
しかし、生後数ヶ月の赤ん坊が男に・・・というシーンはさすがに衝撃的過ぎて、
思い出したくない強烈なシーンである。
このシーンの時、一部客席がざわつき、男女の2人組が退場する場面も。
退場の理由が、このシーンを見たくなかった為か、他の理由かは分からないが、
自分も退場したくなるほど見たくないシーンであった。
特にまだ小さい娘を持つ親としては・・・。
今後この作品が日本で劇場公開されるかどうかは分からない。
商業的に成功するか微妙である。
かなり個性的で、社会問題を取り上げた貴重な作品ではあるのだが・・・。
・・・・・
映画上映後にQ&A。
登壇者は、マイケル・J・リックス監督。

Q(司会):
衝撃的な題材をテーマに映画を作ろうと思ったきっかけは?
A(監督):
大変残念ながら、これは南アフリカでは日々起こっている問題。
レイプ事件の件数は報告されているだけで年間2万5千件あり、半分は子供が被害者。
今まで映画としては製作されていなかったテーマで、それが大きな牽引力となった。
Q(観客):
自分は大学生で、映画を作っている。監督はどのように低予算で映画を作って来たか?
A(監督):
ウェブサイトに自分の作品を載せて、感心を持ってくれた人に株を買ってもらう様な形で、
最終的な興行の利益の何%かをお返しする仕組み。
この作品については、政府にとっては作って欲しくないタイプの作品だったので、
政府からの資金は期待できなかった。
Q(観客):
主人公の男をずっとカメラで追い続けている様な作り方。これは何か意図がある?
A(監督):
ここには意図がある。
この環境とこのキャラクターの世界に観客の方々にどっぷり浸かって欲しかった。
逃げ道を無くした状態でこの環境とこのキャラクターに対処して欲しかった。
それが過酷過ぎて途中で映画を観てられなくなって立ち去る人もいたかもしれない。
常に主人公にフォーカスを与えて逃げられない様にするという方法。
Q(観客):
最後の方でモノクロの映像に変わっていくが、男性の追い込まれた感情を表現したもの?
A(監督):
実は映画の冒頭の部分から徐々にだんだんと色が抜け落ちて行く仕組みになっている。
それが最後まで続いてモノトーンになる。
元々の意図は、男の人生から色が削げ落とされて行くというのと同じ様な形で、
観客の方にも色が落ちて行くのを感じて欲しかったということ。
Q(観客):
ずっとカメラが主人公を追っていたのが、最後は追わなかったのは?
A(監督):
観客にとっても主人公にとっても、そろそろ逃してあげようとした。
主人公にとっては、あれでやっと自由になれる。
観客も彼にずっと付き合っていかないといけなかったので、休ませてあげようと。
それでクローズアップから離れて遠目で見られる様にした。
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